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29話 初めてのデート

作者: みみっく
last update 最終更新日: 2025-08-19 07:00:31

「そっかっ♪ 良かった」

 ミサキは、安心したように笑顔を見せた。

 とは言ったものの、人の家の冷蔵庫で材料を勝手に使っていいものか……。うーん……。今日はインスタントラーメンでいいかな。

「ごめんね……勝手に材料を使っちゃ悪いかなって思って……。今度、うちで作ってあげるよ」

「マジか! 期待しちゃおっと……」

 マサトは、にこにこと嬉しそうにミサキを見つめた。

 昼食が終わり、二人は再びベッドに向かいただ裸のまま抱き合っていた。マサトの胸に顔を埋めたミサキは、トクトクと静かに響く彼の心臓の音を聞いていた。マサトの大きな手が、ミサキの髪を優しく撫でる。その温かさと安心感に、ミサキは幸せなため息をついた。

「マサトくん……」

「ん?」

「マサトくんの匂い、好き」

 そう言うと、マサトは少し照れたように笑い、ミサキの頭に軽くキスを落とした。言葉はなくても、互いの体温を感じながら静かに寄り添う時間。ミサキは、この上ない幸せを感じていた。過去の傷跡も、マサトの温もりの中に溶けていくようだった。

 翌日の休みの日、ミサキはマサトと二人で公園に遊びに行くことになった。気晴らし、という名目だったが、ちゃんと付き合い始めてから公園へ行くのは初めてのことだ。以前にも公園で顔を合わせて話したことはあったけれど、あの頃はただ辛く気まずい思い出しか残っていない。何より、あの時はまだ「ちゃんと付き合っている」と言えるような状態ではなかったのだから。

 でも、今日は違う。朝から胸がワクワクして、ドキドキが止まらない。ミサキは張り切って、二人分のお弁当を手際良く作り上げた。長年の付き合いでマサトの味の好みは知り尽くしているし、ミサキ自身が彼のためにお弁当を作っていくのもこれが初めてだ。きっと、マサトは驚いてくれるに違いない。その顔を想像するだけで、ミサキの頬は自然と緩んだ。

 楽しみ過ぎて、ミサキは約束の時間よりも30分も早くマサトの

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